いつも通りの帰り道
いつも通りの速度で帰る
青か灰かもわからない空は午前4時を教えてはくれなかった
「...傘わすれたなぁ。」
ついていない。
いつも必ず確認する天気予報はこういう時に限って見忘れるのだ。
小雨がポツポツと街を濡らす
水を帯びた街並みはどこまでも透明な気がした。
ヴッ、ヴッ、ヴッーッ
はっ。
ケータイが胸を昂らせる。
彼だろうか?
…いやまさかなぁ。
何も根拠はないけれど、気にしてしまうのだ
いつも何事も突然に起こすキミだ。
そのせいだ。
この連絡相手はキミではないだろうか。
そんなことを考えてしまう。
まったく、この空のようだ。
『NEWS TOPICS____……」
「……だよなぁ〜。」
膨らんだ期待は弾けて消える。
どうすればキミとLINEが出来るだろうか。
自分から送るべきか?
いや、こんな時間は迷惑か?
そもそもなんと送ればいいのだろう?
会いたい、と気づけば頭の中はそのことで支配されていることに気づく。
聞いていた音楽など、とっくにアルバムはおろか、アーティストさえも変わっている
雨粒を抱える空が
「器用に生きようとするくせに、どこまでも君は単純だな。」
と嘲笑い、粒を大きくする。
「はぁ。会いたいなぁ。」
そう、
それはとある、それは水無月のこと。